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Danjulo Ishizaka
   
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NHK交響楽団の第1580回定期演奏会にロジャー・ノリントンが登場した。イギリス人で歴史的考証を解釈に盛り込む「ピリオド楽器演奏」を推進してきた指揮者の一人。近年では、シュトゥットガルト放送響とともに、20世紀初頭の音楽にまで歴史的な演奏法を意識した解釈を施している。日本のオーケストラが彼の手法にどこまで順応するのか、そこに興味が集中した。
エルガーの「コケイン」序曲が始まるや否や、ヴィブラートを削減した弦楽器の響きが、鳴り響く。ヴィブラートの常用は1930年代以降に一般化した事実を根拠とする解釈に、N響が柔軟に対応していたのに驚いた。
ドイツ出身の若手、石坂団十郎をソリストに迎えたエルガーのチェロ協奏曲でも同じ。それどころか、石坂までもがヴィブラートを制限したのである。その結果、とりわけ弦楽器群が提示する動機の姿がにじまず鮮明に聞こえ、彫りの深い演奏が実現した。
ノリントンは歴史的考証という以上に、個性的な表情をあざとく示す時がある指揮者でもあり、モーツァルトの交響曲第39番では彼らしさが全開となった。
―(一部省略)―
不慣れな表現ゆえの抵抗感や萎縮が、技術的な乱れを誘発した場面もあった。しかし、伝統を大切にする日本の名門が最先端のモーツァルト解釈へここまで接近し得ることが確認されたのは、大きな収穫だった。
(安田和信)

NHK交響楽団第1580回定期演奏会 2006年11月1日 サントリーホール
『読売新聞』 演奏会批評 2006年11月7日夕刊



1997年からドイツのシュツットガルト放送交響楽団首席指揮者を務める英国人ロジャー・ノリントンがNHK交響楽団に初めて客演した。11月1日、サントリーホールの定期演奏会は前半に英国の作曲家エルガーの「ロンドンの下町」序曲と「チェロ協奏曲」(独奏は石坂団十郎)、後半にモーツァルト「交響曲第39番」を配した。
72歳のノリントンは78年から20年近く続いたロンドン・クラシカル・プレイヤーズとの共同作業を通じ、ピリオド(作曲当時の仕様の)楽器による古典音楽の再現様式を究めた。その解散後、モダン(現代の仕様の)楽器のオーケストラへ戻り、ピリオド奏法を採り入れた斬新なアプローチで聴き古された名曲の数々を再生してきた。
N響でも第1、第2ヴァイオリンを左右に分ける対向配置、ヴィブラートを排した直線的な響き、楽節の句読点の明瞭さなど、ノリントン流の方法論は貫かれた。「ここ数十年の“鳴らし過ぎ”の陰に隠れていた楽曲本来の魅力を明らかにする」と語る指揮者の意志は固い。
驚くべきは、つい十年前までドイツ系巨匠指揮者の下で重厚長大、保守本流の音楽を奏でていたN響がノリントンの意図を深く理解。「珍しい方法論に合わせる」どころではない変身を遂げ、弦の透明な響き、管の名人芸など出色のモーツァルト演奏で客席を酔わせたことだ。石坂の卓越した技、内面からの歌心が出色だったエルガーともども、出会いの喜びに満ちていた。
(池田卓夫)

NHK交響楽団第1580回定期演奏会 2006年11月1日 サントリーホール
『日本経済新聞』 演奏会批評 2006年11月8日夕刊



ここでは、チェロの石坂にスポットを当てるべきだろう。その実に朗々と鳴り響く音色と音量に驚かされた。すでに大家の風格ありといったところか。たっぷりぎりぎりまで使う弓から上質なカンタービレが生まれる。19世紀のロマンティシズムをも感じさせるその演奏スタイルはまさにドヴォルザークにうってつけ。この若い演奏家はオーケストラに合わせるのではなく、すでにオーケストラを自分に引き寄せている。大いに注目すべき演奏家が現れたものだ。
(石川浩)

仙台フィルハーモニー管弦楽団 シーズン・オープニング・コンサート
2004年4月16日 仙台市青年文化センターコンサートホール
『音楽の友』 演奏会批評 2004年7月号より



磨かれた技と篤実な解釈、暖色系の歌心を存分に披露した日系ドイツ人のチェリスト、石坂団十郎によるハイドンの協奏曲第2番ニ長調が、今定期の主役を演じた。ずいぶん前にコンクールや音楽祭で石坂トリオの演奏を聴き、今春以降シューマン、ドヴォルザークの協奏曲を聴いたが、今回のハイドンもみずみずしい出来映えで、銘記をスタイリッシュに鳴らしつつ、若手指揮者のヘンリク・シェーファー、東響との交歓を楽しんでいるかのよう。ホールの豊穣な音響を勘案したかのような技も披露したが、あざとさはなく、すべてが求心的に温もりをたたえながら響く。すばらしい才能だ。バッハのアンコールがまた心憎い。(奥田佳道)

東京交響楽団第514回定期演奏会 2004年5月8日 サントリーホール
『音楽の友』 演奏会批評 2004年7月号より



石坂の美点、それはもちろん高度な技術と優れた音楽性にあるのだが、何よりも音楽に対する初々しいまでの感性、そしてそれによって導かれた音と表現への率直な反応である。だから音楽が今そこで生まれたばかりのように息づいている。(石原立教)

石坂団十郎チェロ・リサイタル 2004年4月23日 武蔵野市民文化会館
『音楽現代』 演奏会評 2004年7月号より